アッペンツェルの旅行・観光ガイド

YOUR GUIDE TO APPENZELL, SWITZERLAND

アッペンツェルはドイツ、オーストリアの国境にも近いスイス東北部にある「昔ながらのスイス」が残る小さな町。

スイスといえばまずイメージするような高い山があるわけでも、高級リゾートというわけでもありませんが、チューリッヒやバーゼルなどの商業都市では失われてしまった何かを今に伝えています。

中世の姿をそのまま残す教会や市庁舎、伝統的な切妻屋根と鮮やかな壁画がかわいらしい家が並ぶ街並みと、少し歩けばどこまでも続くゆるやかな牧草地の広がる、のんびりした場所。

世界的に有名なハードタイプチーズ「アッペンツェラー Appenzeller」の産地でもあります。

毎年4月最終日曜日に行われる「ランツゲマインデ Landsgemeinde」と呼ばれる、先進国では珍しい有権者直接参加による青空議会が開催されることでも有名。

アッペンツェルの基礎データ
基礎自治体
Gemeinde/Commune/Comune
アッペンツェル
Appenzell
所属州
Kanton/Canton/Cantone
アッペンツェル・インナーローデン準州
Kanton Appenzell Innerrhoden
言語
Sprache/Langue/Lingua
ドイツ語(スイス・ドイツ語)
郵便番号
Postleitzahl/Code postal/Codice Postale
9050
標高
Höhe/Altitude/Altitudine
777m
人口
Einwohner/Population/Abitanti
5,825人(2016年)
行政ウェブサイト www.appenzell.org
APPENZELL WEATHER

アッペンツェルへのアクセス・交通

アッペンツェルへはアッペンツェル鉄道(Appenzeller Bahnen AB)の利用が基本となります。

アッペンツェル鉄道の路線はアッペンツェル両準州内とザンクトガレン州に広がっているので、スイス国鉄の多くの駅で接続しています。

まずはゴッサウSG(Gossau SG)もしくはザンクトガレン(St. Gallen)を目指して乗り換えるのが一般的で、チューリッヒ(中央駅・空港駅)、ベルン、ローザンヌ、ジュネーブ(コルナヴァン駅・空港駅)などからのICN/ICなど優等列車も停車します。

ゴッサウSGからアッペンツェルまでは約40分、ザンクトガレンからは約45分。

アッペンツェルの主な見どころ

アッペンツェル中心部
Stadtmitte Appenzell

アッペンツェルの街の中心部は非常にコンパクトなので、歩きでも簡単に見てまわることができます。

アッペンツェル駅は中心部の南にあり、そこから街のメインストリートのハウプトガッセ(Hauptgasse)までは徒歩5分もかからないほど。ハウプトガッセ沿いには中世の姿をそのまま残す赤壁の市庁舎があり、そのとなりにちょこんと建つクリーム色の建物がアッペンツェル地方の歴史や文化を紹介しているアッペンツェル博物館(Museum Appenzell 入場料CHF7.00)。

その東側に建つのは聖マウリティウス教会(St. Mauritiuskirche)で、時計塔に描かれた絵が印象的。その周辺が街の中心で、かわいらしい看板を軒先に掲げたお店が並んでいます。

ランツゲマインデ
Appenzeller Landsgemeinde

ランツゲマインデ

ランツゲマインデの様子(アッペンツェルではなくグラールスのもの)

Ludovic Péron

スイスの憲法では国民発議(イニシアティヴ)と国民投票(レファレンダム)といった直接民主制が認められているため、国民による政治参加が非常に活発。

スイスでは殆どの州で住民投票によって政治的な議案の採否を決していますが、このアッペンツェル・インナーローデン準州とグラールス州では住民の直接参加による青空集会でその採決を取る「ランツゲマインデ Landsgemainde」が年1回、4月最終日曜日に行われています(グラールスは5月第1日曜)。

これは言ってみれば民主主義の原型ともいえる形態で、その日のために着飾った人々がアッペンツェル中心部のランツゲマインデ広場(Landsgemeindeplatz)に集結し、代表者仕切りのもと様々な議論と採決が行われます。

この日は見物客も含め、1年で1番アッペンツェルに人が集まる日なので、ホテルを確保するのは至難の業。ランツゲマインデ自体は午前中から始まるので、最初から見たい!という方は極力早めにホテルを押さえてしまうことをオススメします。

アッペンツェラー・チーズ工房
Appenzeller Schaukäserei

アッペンツェラー・チーズ工房(アッペンツェル)

アッペンツェルと聞いてチーズを思い浮かべる人も多いはず。

その名の通り、アッペンツェルはアッペンツェラーチーズのふるさとです。ハードタイプのチーズで、白ワイン・塩・スパイスなどを混ぜた水と秘伝の布地でゴシゴシするために独特の風味があります。熟成期間によってラベルの色が違い、銀・金・黒の順番で2〜3ヶ月ごとにその期間が延びていきます。

日本でも専門店などで手に入れることができますが、チーズ好きは是非工房まで行ってみたいところ。アッペンツェル・アウサーローデン州のシュタインにある工房では製造工程の見学が可能で、併設レストランでは試食はもちろんチーズを使ったスイス料理を味わうことができます。ショップではアッペンツェラーの塊やフォンデュ鍋の購入も可能。ちょっと荷物にはなりますが、おみやげや記念には最適!

アクセスはザンクトガレンかヘリザウからポストバス180番系統でシュタイン・ポスト(Stein AR Post)まで行き、そこから徒歩すぐ。営業は9:00〜17:30(11月〜4月)、5月〜10月は18:30まで延長、12月24日のみ14:00閉館で、12月25日は休業。チーズづくりは15:00まで。英語・ドイツ語などでのガイドツアー(1時間)も可能ですが、事前予約が必要です。

センティス
Säntis

アッペンツェル・アルプスの最高峰(2,502メートル)で、周辺の平地の標高が低いため四方を見渡すことができる展望台が山頂に設置されています。

広く確保できる視界が注目され1882年には測候所が設置されたという山頂からは、ボーデン湖やベルニナアルプスをはじめ、遠くドイツ南部のシュヴァルツヴァルトまで見えることも。山頂レストラン「Restaurant Säntisgipfel」での景色を見ながらのランチがオススメ。

センティスへの行き方

センティスへはふもとのシュヴェーガルプ(Schwägalp)からゴンドラで約10分。

アッペンツェル駅からゴッサウ(Gossau SG)行きローカル列車で15分のウルネッシュ(Urnäsch)まで行き、駅前からバス791番で終点のシュヴェーガルプまで。ザンクトガレンから来る場合はヘリザウ(Herisau)で乗り換えてウルネッシュまで行くことができます。

料金・割引情報

シュヴェーガルプ〜センティス山頂往復:大人CHF45.00

スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:50%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引

ゼーアルプ湖
Seealpsee

まだそれほど知られていない絶景スポットのひとつで、アッペンツェル地方の山々とのどかな草原を歩きながらハイキングした先に、エメラルドグリーンにきらめく美しい湖が待っています。

アッペンツェルから列車でヴァッサーラウエン(Wasserauen)へ。ものの10分ほどで到着します。ここからは2ルートあり、ひとつはゴンドラで1,640メートルのエーベンアルプ(Ebenalp)まで上がってそこから下っていくコース。もうひとつはヴァッサーラウエンから直接歩いて目指すコースです。

エーベンアルプまで上がり、ここからハイキング開始。しばらく歩くとヴィルトキルヒリ(Wildkirchli)と言われる洞窟と小さな教会が出現します。この洞窟からはネアンデルタール人の遺物と思われる熊の骨が発掘されています。

洞窟をすぎてまた少し歩くと、崖にへばりつくように建つゲストハウス&レストラン「エッシャーヴィルトキルヒリ Aescher-Wildkirchli」に着きます。ここは5月〜11月の間だけの営業なので注意。飛び込み客のみなので予約も不要で、営業さえしていれば入れないことはまずありません。

ここからは下りになり、センティスや目的地のゼーアルプ湖を眼下に見ながら約45分〜1時間、エメラルドグリーンに輝く湖のほとりに到着します。

湖の周辺にはホテルがあるので、ここで休憩や食事も可能。

帰りはヴァッサーラウエンまで草原の1本道(なだらかな下り坂)で約1時間。山と草原と牛と湖、これこそスイス!という体験を是非。

料金・割引情報

ヴァッサーラウエン〜エーベンアルプ片道:大人CHF20.00

スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:50%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引

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