絶景の展望台へ!スイスの登山鉄道について〜鉄道で旅するスイス

MOUNTAIN RAILWAYS IN SWITZERLAND

スイスに来たら登山鉄道で絶景展望台へ!スイスを代表する登山鉄道を一挙紹介

グリンデルワルト駅

スイス旅行でまず外せないのが、登山鉄道の旅。

アルプスの山岳地帯が国土の大半を覆っているスイスでは、古くから山岳地帯の輸送力確保に力を入れてきました。

その結果各地に登山鉄道が建設され、100年以上前に敷設された線路を使って今も現役というものはさほど珍しくありません。

現在ではその殆どが展望台などへのアクセスや、ハイキングやスキーの足として使われています。

ここではスイスの数ある登山鉄道の中から、スイスツアーズがオススメする路線をご紹介します。

ゴルナーグラート鉄道 Gornergratbahn

ツェルマット駅

ゴルナーグラート鉄道・ツェルマット駅

ツェルマット駅

進行方向右側に座るとマッターホルンの絶景が!

マッターホルンにふもとの村ツェルマットと、世界でも有数の展望台として知られるゴルナーグラートを結ぶ登山鉄道がゴルナーグラート鉄道(GB)。

氷河急行の始発/終着駅でもあるマッターホルン・ゴッタルド鉄道のツェルマット駅の斜め向かいに専用駅があり、そこから全長9.34kmのアプト式ラックレール区間で標高差1,485mを約33分で登っていきます。

途中、フィンデルバッハ、リッフェルアルプ、リッフェルベルク、ローテンボーデンの4つの駅があり、それぞれ乗降が可能。夏は絶好のハイキングコース、冬は広大なゲレンデと季節によってガラっとその表情が変わるのもこの路線の魅力のひとつです。

マッターホルンは車窓右側に見えるものの、旅行シーズンの早朝〜日中はかなりの争奪戦になります。

終点に到着するころには森林限界を越えているので岩場のゴツゴツした地表と、少しだけ残る雪だけの世界となっていきます。終着駅ゴルナーグラートは標高3,089m。スイス最高峰のモンテ・ローザ(4,634m・実際の最高地点はイタリア領)、ブライトホルン(4,164m)、リスカム(4,527m)などスイスアルプスを代表する4,000メートル級の山々と雄大なゴルナー氷河、そしてマッターホルン(4,478m)を望むことができます。

駅のある地点からさらに徒歩5分ほどで本当の山頂へ行くこともでき、ここからは駅周辺から見ることのできない北側の景色も見ることができます。

ユングフラウ鉄道 Jungfraubahn

アイスメーア駅

アイガー北壁の中にあるアイスメーア駅構内

クライネシャイデック駅

クライネシャイデックにはホテルやレストランがあるので、アイガーを間近に見ながら食事も楽しめます

スイスでおそらく最も有名な登山鉄道で、世界的な人気を誇るのがこのユングフラウ鉄道(JB)。

全長はわずか9.3キロと短い路線ですが、終着駅であるユングフラウヨッホ駅は標高3,454m!駅の至る所に掲示してある「トップ・オブ・ヨーロッパ TOP OF EUROPE」の名のとおり、ヨーロッパで最も標高の高い場所にある駅です。

出発地点のクライネ・シャイデック駅(標高2,061m)から約50分かけて、アイガー・メンヒのアルプスの名峰を貫くトンネルを登っていきます。

途中、トンネル手前のアイガーグレッチャー駅、トンネル内のアイガーヴァント駅、アイスメーア駅に停車します。

アイガーヴァント駅はその名のとおりまさにアイガー北壁に面した駅で、数々の登山家が挑戦し散っていった恐ろしく切り立った崖に面していて、数分間の停車時間の間に下車してガラス越しに北壁と遥か下のグリンデルワルトなどの景色を見ることができます。アイスメーア駅も同じような構造で、展望台からは間近にせまるアイガー氷河が。ここを過ぎると終着駅ユングフラウヨッホに到着します。

ユングフラウ鉄道は1896年に建設が開始され、1898年にクライネ・シャイデック〜アイガーグレッチャー間が部分開通し、1912年にアイガー北壁をぶち抜くトンネルがようやく完成を見てユングフラウヨッホまでの全線が開通しました。旅客輸送の他、途中各駅とユングフラウヨッホへの物資輸送の唯一の手段として活躍しています。

ベルナーオーバーラント鉄道 Berner Oberland-Bahn

グリンデルワルト駅舎

インターラーケン・オスト行きとクライネシャイデック行きが発着する、グリンデルワルト駅の駅舎

グリンデルワルト行き

行き先表示を確認!

ベルナーオーバーラント鉄道(BOB)はインターラーケン・オスト駅とラウターブルンネン駅・グリンデルワルト駅を結ぶ鉄道で、途中のツヴァイリューチネン駅で二股に別れて運行しています。

インターラーケン・オスト駅では、殆どの列車が両終着駅方向へ向かう客車が連結された状態で発車するので、乗る前に車両の行き先表示板を必ず確認する必要があります。分岐駅のツヴァイリューチネンまでは比較的平坦な道のりですが、切り離し後はどちらの方向に向かう列車も一部アプト式ラックレールを使って急勾配を登っていきます。

ラウターブルンネンは小さな村ですが、グリンデルワルトに比べると静かで落ち着く雰囲気が漂っています。切り立った崖に囲まれていて、アルプスの雪解け水が流れ落ちるシュタウプバッハの滝やトゥルンメルバッハの滝など見どころも多く、いかにもスイス!という村なので、ユングフラウ観光をメインに滞在するなら非常にオススメです。

ブリエンツ・ロートホルン鉄道 Brienz-Rothorn-Bahn

ブリエンツ・ロートホルン鉄道
ブリエンツ・ロートホルン鉄道

Brienz Rothorn Bahn AG

インターラーケンの東側にある湖、ブリエンツ湖(Brienzersee)。

湖の東端にある街ブリエンツからその背後にそびえるロートホルン(Brienzer Rothorn・2,351m)の山頂近くにあるロートホルン・クルム駅までを登る登山電車がブリエンツ・ロートホルン鉄道(BRB)です。

山頂駅は2,298mと、周囲のユングフラウ地方の展望台と標高だけを比べるとごくごく普通の高さではありますが、この登山鉄道、実は世界中の鉄道ファンの憧れの的。

全ての列車がそうではありませんが、19世紀末製造で現役の、それも小さなかわいらしい蒸気機関車が客車を押し上げて登っていく珍しい登山鉄道なのです。最大勾配は250パーミルとユングフラウ鉄道と同じ急勾配で、それに合わせて蒸気機関車の機関部そのものが傾いているというのも愛らしい姿。99%が電化されているスイスの鉄道において、フルカ山岳蒸気鉄道とここが唯一の非電化区間でもあります。

開業は1892年でユングフラウ鉄道よりも早く、戦争や資金不足のため廃止の危機にも見舞われましたが、1931年以降は継続して運行されています。全線が単線で、アプト式ラックレールが使用されています。途中3ヶ所のすれ違いポイントがあり、すれ違いの他機関車の給水の他、プランアルプ駅では乗降も可能。クルム駅からプランアルプ駅までくだりハイキングは所要2時間程度で比較的簡単なコースで、ブリエンツ湖やアイガー、インターラーケンの街などを見下ろすパノラマが素晴らしいで、時間と靴に余裕があれば是非トライしてみてください。

ピラトゥス鉄道 Pilatusbahn

ピラトゥス鉄道
ピラトゥス鉄道

PILATUS-BAHNEN AG

スイスに数ある登山鉄道の中でも、特に荒々しいのがこのピラトゥス鉄道(PB)。

鉄道としては世界最大勾配の480パーミル(1000m進むごとに480m登る)の切り立った岩肌にへばり付くように登っていき、フィーアヴァルトシュテッテ湖ほとりのアルプナハシュタットとピラトゥス山頂のピラトゥス・クルム駅(標高2,073m)を結んでいます。

もちろんラックレールを使用していて、スイスでよく見られるアプト式ではなく、世界で唯一となるロッヒャー式(2つの歯車でギザギザのレールを横から挟む方式)を採用しています。全長4.8キロと短い区間ですが標高差は1,633mもあり、いかに急勾配を登っていくのかがよくわかります。所要時間は約30分〜40分で下りのほうが若干時間が多めにかかります。

頂上のピラトゥス・クルムからは細長く入り組んだフィーアヴァルトシュテッテ湖と、遠くルツェルンの街も望むことができます。もちろんハイキングコースが多数整備されているので、体力や装備に合わせて軽く歩くことも可能。

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