ユングフラウ・メンヒ・アイガーの3山をはじめとする名峰が数々そびえるこのユングフラウ地方は、スイスを代表するアルペンリゾートが数多く点在するエリアでもあります。
夏は登山・ハイキング、冬はスキー・スノーボードを楽しむ人たちはもちろん、登山鉄道やロープウェーで展望台へ上がって、「これぞスイス」という景観を楽しむ世界中からの旅行者が年中訪れる場所です。
グリンデルワルト、ウェンゲン、ミューレン、ラウターブルンネンなどの美しい村々や、ユングフラウヨッホ、メンリッヒェン、シルトホルン、フィルストなどのダイナミックな景色を堪能できる展望台があり、一度ならず何度も訪れてみたくなる魅力がいっぱいです。
どこか拠点を決めて数泊とって行動するのももちろんオススメですが、時間に余裕があればいくつかの村で滞在を楽しむのもオススメです。
ユングフラウ地方へのアクセス・交通
ユングフラウ地方への起点となるのはインターラーケン。
インターラーケン・オスト駅からはグリンデルワルトとラウターブルンネンへの列車があり、これに乗ってまずこのどちらかまで行くのが一般的。
各地への行き方はそれぞれのガイドページをご参照ください。
ユングフラウ地方の主な見どころ
登山鉄道やロープウェーで展望台に上がってパノラマを楽しむもよし、ハイキングをして花や高山植物を見つけるもよし、スイスアルプスならではの楽しみ方がいっぱいのユングフラウ地方。グリンデルワルトやインターラーケンなど、どこに滞在しても基本的にアクセスは良いのもポイント。
ユングフラウヨッホ
Jungfraujoch
標高3,454m、スイスが誇る展望台のひとつで知名度・人気ともにNo.1なのがこのユングフラウヨッホ。
「Top of Europe」の名のとおり、ここはヨーロッパの鉄道の駅の中でも最高地点。
ユングフラウヨッホ駅はトンネルの中にあり、そこからエレベーターで3,573mの展望台「スフィンクス Sphinx」へ。ここには室内と屋外の展望台があり、目の前にメンヒの頂上(4,107m)と全長約23キロにも及ぶ巨大なアレッチ氷河(Aletschgletscher)が目に飛び込んできます。晴れた日の空の青さと、どこまでも連なる4,000m級の山々、そしてダイナミックな氷河はこれぞスイスの展望台!といった景色。日本では絶対にお目にかかれないものなので必見です。
駅の反対側の出口から外に出るとプラトー(Plateau)と呼ばれるポイントがあり、スイス国旗が立っているむこうにユングフラウの頂上を望むことができます。
ちょっと雪原を歩いてみたいという方はぜひ3,650mのメンヒスヨッホヒュッテ(Mönchsjochhütte)へ。1時間ほど(約4.5キロ)の道のりですが圧雪されているので、雪道を歩ける靴と防寒具があればガイド無しでも十分歩くことができます。ヒュッテでは食事も可能。その他にも犬ぞり体験、スキー、氷河トレッキングなどのアトラクションもあります。
ユングフラウヨッホへの行き方
まずグリンデルワルトかラウターブルンネンから、ウェンゲルンアルプ鉄道(WAB)でクライネ・シャイデック(Kleine Scheidegg)へ。
ここからユングフラウ鉄道(JB)でユングフラウヨッホまでは52分。途中アイガーグレッチャー、アイガーヴァント、アイスメーアの3駅に停車し、下り便はアイガーグレッチャーのみの停車なので途中駅で写真を撮るなら確実に行きにしておきましょう。
料金・割引情報
グリンデルワルト発
通常料金(往復):CHF190.00
モーニングチケット(早朝割引・往復):CHF145.00
グリンデルワルト・ラウターブルンネン・ウェンゲン発共通
当日有効なスイストラベルパスがある場合(往復 ※1):CHF137.40
当日有効なハーフフェアカードがある場合(往復 ※2):CHF91.50
※1:スイストラベルパス、スイストラベルパス・フレックスの当日有効(利用日)のものがあれば割引対象となりますが、追加のキップ購入は必要です。割引率はグリンデルワルト・ウェンゲン以遠で25%。
※2:ハーフフェアカードは全区間50%割引適用。
クライネシャイデック
Kleine Scheidegg
クライネシャイデックはグリンデルワルト、ウェンゲンどちらから来ても、ユングフラウヨッホへ行く時に必ず通る中継地点。
ここだけを目当てに行く、ということは少ないかもしれませんが、ユングフラウヨッホへの乗換だけではなく、メンリッヒェンやウェンゲン、アイガーグレッチャーへのハイキング・トレッキングの拠点でもあります。
ウェンゲルンアルプ鉄道とユングフラウ鉄道の乗換え駅で、駅舎レストランではアイガー北壁の雄大な姿を見ながら食事することができます。冬はスキーエリアの中心でもあるので駅舎の周りにはホットワインやソーセージ、ロシュティ(ジャガイモに焦げ目をつけたスイス定番料理)の屋台が出て賑やかな雰囲気に。ホテルも軒数は少ないもののいくつかあるので、ハイキングやスキーを徹底的に楽しむ方にはぜひここでの宿泊をオススメします。
クライネシャイデックへの行き方
グリンデルワルト・ラウターブルンネン(ウェンゲン経由)からそれぞれ直通の列車が運行されています。グリンデルワルトから約33分、ラウターブルンネンから43分、ウェンゲンから25分。ウェンゲンからクライネシャイデックまでのハイキングルートを歩いて行くことも可能で、距離6.9キロ、高低差約700メートルで、約3時間。
料金・割引情報
グリンデルワルト〜クライネシャイデック往復:大人CHF62.00
ラウターブルンネン〜クライネシャイデック往復:大人CHF61.60
ウェンゲン〜クライネシャイデック往復:大人CHF48.00
スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:25%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引
シルトホルン
Schilthorn
Schilthornbahn
シルトホルンの名前は知らなくても、ここの頂上にある展望台「ピッツ・グロリア Piz Gloria」はどこかで見たことが...という人も多いかもしれません。
実は1969年公開の007シリーズ第6作「女王陛下の007」でジェームス・ボンドが潜入した敵の研究所の撮影はここで行われ、その後レストランに改装されました。360度回転するレストランでは、007にちなんだメニューや記念ピンバッジなども売られているので、ファンは必見。
ここからの眺望も素晴らしく、ユングフラウ地方の西のはずれにあるためアイガー・ユングフラウ・メンヒの3山の全体像をはっきり見ることができます。その他にもブライトホルン(Breithorn 3,782m)など200以上の山頂を見ることができます。
また、ミューレンとシルトホルンの間にあるビルク(Birg 2677m)には断崖絶壁に設けられた金網と手すりだけで作られた通路「スリルウォーク」があり、絶景を楽しめると同時に最高の恐怖が無料で体験できます。
シルトホルンへの行き方
まずミューレンまで行き、シルトホルン鉄道ロープウェーを利用します。中腹の途中駅ビルク(Birg)で一度乗り換える必要があり、ラウターブルンネン・シュテヒェルベルク方面の谷底から上がる場合は途中2回の乗換となります。シュテッヘルベルクを出てすぐ右側にミューレンバッハの滝が見えるのでそちら側に陣取るのも忘れずに。
料金・割引情報
ミューレン〜シルトホルン往復:大人CHF82.20
ラウターブルンネン〜シルトホルン往復(グリュッチュアルプ経由):大人CHF105.00
ラウターブルンネン〜シルトホルン往復(周遊ルート):大人CHF114.20
スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:50%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引
フィルスト
First
Jungfraubahnen Management AG
フィルストはグリンデルワルトからロープウェーで約20分、2,168mと周りの展望台に比べると少し大人しめな標高で、気軽に行くことができる展望台です。
ただ侮るなかれ、ここの醍醐味はなんといっても山歩きと充実したアトラクション。
フィルストから約1時間40分で往復できるバッハアルプゼー(Bachalpsee 写真下)の青白く透き通る小さな湖とそのむこうにそびえるシュレックホルン(Schreckhorn 4,078m)の合わせ技の景色は写真を何枚撮っても飽きないほどの絶景。
その他ブスアルプ(Bussalp)、シーニゲ・プラッテなどへのコースがあるので体力と自信を照らし合わせて是非チャレンジしてみてください。
このあたりのルートであればしっかりしたハイキング装備さえあればガイドなしでも十分歩くことが可能。バッハアルプゼーの往復だけなら靴さえしっかりしたものであれば軽装でもOK。但し、要所要所にある道しるべとコースを絶対に外れないように。
また、フィルストから高低差約200メートルを一気にフィルスト・フリーガー(英語ではフィルスト・フライヤー First Flieger/Flyer)かフィルスト・グライダー(First Glider)で一気に飛ぶ(下る)アトラクションも人気。
下りた先のシュレックフェルト(Schreckfeld)はグリンデルワルトからのロープウェーの経由地なのでここからロープウェーで下ることもできますが、夏ならぜひマウンテンカートとトロッティバイク(自転車とキックボードを合わせたような乗り物)にチャレンジを。2つの動力のない乗り物を使ってグリンデルワルトまで戻ることができます。
フィルストへの行き方
有効なスイストラベルパス・スイストラベルパスフレックスがあれば50%割引になります。ユングフラウパス所有者は期間中フリーパス。運行期間は5月下旬〜10月下旬と12月上旬〜4月上旬で、それ以外の時期は点検などによる運休となり、また運行期間内でも時期によって運行時間が異なります。
料金・割引情報
グリンデルワルト〜フィルスト往復:大人CHF60.00
スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:50%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引
メンリッヒェン
Männlichen
メンリッヒェンはグリンデルワルトとラウターブルンネンやウェンゲンのある谷の中間にある標高2,343mの山。
グリンデルワルト側にあるグリンデルワルト・ターミナル(Grindelwald Terminal)と、ウェンゲンからの2方面からのロープウェーがあります。
グリンデルワルト側からのロープウェー(Gondelbahn Grindelwald-Männlichen)は1978年開通で全長6,071m、所要約30分でかつては世界最長のロープウェーだったもので、2020年冬に新型の高速ロープウェーにリニューアルされました。
2020年冬シーズンからグリンデルワルト・ターミナル(Grindelwald Terminal)が本格稼働し、メンリッヒェンへのロープウェーはかつてのグルントではなくこちらからに移設され、インターラーケン〜グリンデルワルト間にも新駅が設置されました。
山頂のお互いのロープウェー駅は別の場所で、どちらからも頂上までは少し歩く必要がありますが、すぐそこに見えていてしっかり整備されているので軽装でOK。アイガー、メンヒ、ユングフラウの3山をはじめ、ウェンゲン、ラウターブルンネン、谷の向こうにはインターラーケンと。まさに360度の眺望が楽しめます。
ここからチュッゲン、ラウバーホルン沿いを通ってクライネシャイデックまで通じるハイキングルートはユングフラウ3山がキレイに見え続け、緩やかな下り坂が続くので体力に不安のある方にもオススメできます。
山頂のレストハウス、ベルグハウス・メンリッヒェン(Berghaus Männlichen)は食事だけでなく宿泊も可能です。
有効なスイストラベルパス・スイストラベルパスフレックスがあればウェンゲン〜メンリッヒェン、グルント〜メンリッヒェン共に50%割引。
ユングフラウパス所有者は期間中フリーパス。運行期間は5月下旬〜10月下旬と12月上旬〜4月上旬で、それ以外の時期は点検などによる運休となり、また運行期間内でも時期によって運行時間が異なります。
メンリッヒェンへの行き方
起点となるのはグリンデルワルト・ターミナルかウェンゲンで、インターラーケン方面からはまずこのどちらかまで行くことになります。
グリンデルワルト・インターラーケンから:まずはグリンデルワルトからインターラーケン方面の列車で次のグリンデルワルト・ターミナル駅へ。インターラーケンから来る場合はグリンデルワルト(終点)のひとつ前で下車します。グリンデルワルトのバスターミナルからローカルバスも頻繁に運行されています。
ウェンゲンから:ウェンゲン駅から徒歩5分ほどのところにある乗り場から80人乗りの大型ゴンドラで約5分で山頂。
夏季限定ですが、ゴンドラの屋上に乗ることができる「ロイヤル・ライド Royal Ride」を利用可能。
料金・割引情報
グリンデルワルト〜メンリッヒェン(往復):大人CHF64.00
ウェンゲン〜メンリッヒェン(往復):大人CHF48.00
グリンデルワルト〜メンリッヒェン〜ウェンゲン(片道):大人CHF56.00
グリンデルワルト〜メンリッヒェン+クライネシャイデック〜グリンデルワルト:大人CHF59.00
スイストラベルパス・トラベルパスフレックス:25〜50%割引(有効適用日のみ)
ハーフフェアカード・GA:50%割引